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「3人の専門家が集まって明かす、セミナーでは話さないこんな話。」4.業界別「かおり」をビジネスの成功につなげる着眼点

進行:澤田且成(アイディーテンジャパン株式会社 代表取締役)
語り手:片岡郷さん(アットアロマ株式会社 代表取締役)
松林宏治さん(株式会社共生エアテクノ 代表取締役)
澤田 次に、「業界」ごとのかおりの話題に移りたいと思います。今回、いろんな業界の方にお声をかけたいと思っています。そこで、「この業界はこういうところに気を付けた方がいい」とか、「こういうところに着眼することで売上も上がりますよ」といったアドバイス等々があればお願いします。
美容・理容のかおり戦略
澤田 まず「美容・理容」業界でいうと、例えばパーマ液とか、非常に鼻に近いところでにおいが発生するので、そこで何かをするのは非常に難しいと思うんですね。でも、かおりでビジネスを強化あるいは差別化できないかといったら、決してそうではないと思うんですよ。そういう意味でいうと、理美容業界はどういうことができるのか? みなさんのご意見をいただけますでしょうか。
片岡 僕も美容院に行くので、そういうときに感じるんですが、シャンプーされたり、髪を染めたり、いろんなことをしますが、意外と使われている材料に、かおりの統一感がないんですね。 なかには統一感をもたせているところもあるかもしれませんが、多くのお店は、資生堂やミルボン、ナノコといったメーカーの商品の中から、「シャンプーはこれがいいんじゃないか」「パーマ液はこれがいいんじゃないか」ということで、バラバラに選ばれているのではないかと思うんです。 だから、シャンプーされているときと、ほかのことをされているときとでは、なんかちぐはぐな感じがするんですよね。
澤田 それは空間全体で見たときに、統一性がないという感じなのでしょうか?
片岡 そうですね。おそらく、良かれと思って「いいメーカーのシャンプーを今は使ってみました」みたいなことで使うのでしょうが、シャンプー、リンスぐらいは同じものを使われるかもしれませんが、ほかのものがなんか違っていたりするんじゃないかなと思います。
だから、統一したものにした方が、そこの美容室や理容室のイメージになると思うんですけどね。
澤田 そのショップらしさにエッジが利くという感じですかね。
片岡 そうですね。おそらく一つ言えることは、美容室や理容室でいろんなものが使われていると、いつも一緒のところに行っているのに、なんか違う店に行ったような感じがしたりとか、座ってから最後までの間に統一感がなかったりすると、なんかこう落ち着かない感じがしたりするのではないかということです。私はそう感じますね。
澤田 松林さんは、いかがですか?
松林 すごくわかりますね。実際、私が経験した中では、例えばシャンプーでいうと、隣の人と自分が違うシャンプーを使われているところがありました。理由は、髪の毛の質によって変えているのかもしれないし、男女の違いで変えているのかもしれないですが、こっちはバラのシャンプーで、あっちでは別のシャンプーということになると、ショップ全体では混ざってしまって嫌なにおいが出てしまっているということがあります。だから、そういう統一感はほしいですね。 あと、個人的には、パーマのにおいは堪らないですね。
澤田 あれはなんとかならないんでしょうか?
松林 パーマのにおいについては、じつは結構ご依頼もあって、においをとるためにいろいろ試験をやったのですが、先ほど澤田さんがおっしゃったように近すぎる。人の肌と、におい分子の動くスピードと、それを分解するスピードを考えると、まず不可能なんです。

そこで、なるべくそれを低減してあげるためには、換気回数を上げるというのが一つの手としてあります。パーマをかけるところを局所吸引して、ちょっとにおいを引いてあげると。そういうことが可能であるならば、していきたいですね。

本当にパーマをかけると、2、3日メシも食いたくないぐらい、強烈な臭いじゃないですか。だから、少しでもとってあげた方がいいだろうし、髪の毛を染めると今度はまた有機溶剤なので、においの質がちょっと違ったりして大変ですよね。
片岡 私は毎回毎回、黒く染めるんですけどね。
澤田 そうなんですか。
片岡 じつは結構、真っ白なんですよ(笑)。美容室で染めるんですが、洗い流すときに、理容室じゃないので下向きじゃなくて仰向きで洗われるんですね。そのとき、顔に水がかからないように、タオルを顔の上に被せるんですね。
そうすると、お湯で流された溶剤がワッと上がってきて、顔に被せてあるタオルの中にこもるんです。これが、ものすごく苦しい。おそらく美容室の人たちは、そういう仕組みがたぶんわからないんでしょうね。
澤田 でも、そこはぜひ伝えたいですね。ちょっと工夫すれば、変えられることですからね。
片岡 そうなんですよ。だから、お客さんにとって、どういうふうにしてあげると、かおりを感じるのかとか、かおりを感じないのかという「かおりの導線」を、まずはきちんと研究するべきですよね。たぶん研究されていないのでしょう。さっき言われたように、パーマをかけているときにちょっと吸引してあげるとかもそうかもしれないですが、そういうことはすごく気をつけた方がいいと思います。
澤田 僕も実際に行ってみて、まず自分は何が嫌なのかを感じるようにしているのですが、自分が髪を切りに行って思うことは、髪を切るときに着せられるビニールのケープ(刈布)。あれが水臭い(笑)。あの水臭さは本当に堪らないですね。あと、温かいおしぼりとか持ってきてくれるんですが、あれも臭い。 きっと自分たちはあまり嗅がないので気づかないのだと思いますが、なかにはもう触りたくもないような臭いもあります(笑)。皆さんは、ありませんか?
片岡 ありますね。おしぼりの腐ったやつ。ビニールも同じ臭いをしていますね。
澤田 僕がこの前行った理容室は、ケープを一人一人替えていました。リサイクルの紙かなにかでできているもので、終わったらそのまま捨てるんです。そういうのは、ちょっとした心遣いだなあと思いましたね。
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ネイルのかおり戦略
澤田 「ネイル」業界は、何かありますか。消臭、もしくはアロマでご提案できることは?
片岡 ネイルのにおいがきついので、アロマで何とかならないかという話があるのですが、アロマでは太刀打ちできないんですよ、ネイルの場合は。
松林 そうでしょうね。
澤田 アロマでは太刀打ちできないんですか?
片岡 はい。爪から立ち上る有機溶剤のにおいをアロマで消せと言われても、これはなかなか太刀打ちできないですね。消せというのは。
澤田 松林さん、いかがですか? 消臭は。
松林 ネイルを受けている人から「気分が悪い」というクレームがあったので、うちでも何回かテストをしたことがあります。 例えば、手の下に吸引装置を置いて、その上でネイルをすれば、においを引けるかもしれないですが、おそらくそこまでやることはしない。なぜなら、デザインも悪いし、ある程度音も出るだろうし、ファンの量も膨大になってしまうので。本当にやろうと思えば、そこまでやればできないことはないんでしょうが、現実的には難しいですね。

うちの場合は、テナントの一つとしてネイルアートのショップが入ったときに、隣の店舗が飲食店で、そのネイルのにおいが流入すると。メシを食っているときに溶剤のにおいがするのはけしからんということで、そのにおいをとってくれという依頼はありますね。
澤田 ネイルというのは、お客さまが付加価値を求めている方が多いと思うんですね。急いで何かをしたいという緊急のものではなく、やはり「美しくなりたい」ということなので、そういう人が来るからある程度は我慢できると思うんですよ。 でも、かおりで差別化ができないのかというと、一つは周りへの配慮。もしくは、待合室とかで何かをやるとか。あるいは、お客さんに持って帰っていただく何か、例えば名刺やカードにかおりをつけるとか。そういったマーケティングはできるのかなという感じですかね。というか、それが限界かもしれないですね、今は。
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歯科医のかおり戦略
澤田 そういう意味では、「歯科」も同じなんでしょうか? 治療するのは口で、鼻に近いですから。
片岡 歯医者は、結構イケますよ。ネイルの場合は本当にお店が狭くて、やっているそのところから立ち上るので、どうしようもできないところがあるのですが、歯医者の場合はオギノールという歯医者独特の消毒のにおいはするものの、意外と待合室だとか治療室だとか、そういう空間はアロマで何とかできるんです。

オギノールのにおいをとるのは、うちの仕事ではないのですが、入ったときに「うわっ、歯医者臭い」というのではなく、いいかおりでおもてなしをした方が、心も安らいで、これから何分間も口を開けていなければいけない嫌な思いを、少しでも和らげてもらえるということで、歯医者さんからの依頼は最近すごく多いですよね。
澤田 じつは、私が行っている歯医者さんも、すごくかおりに力を入れているところなんですね。待合室、そして実際治療するところ。そこは個室もあるので、そこでもしっかりかおりを出していただいて、それはもうすごい快適ですね。
本当に扉が開いた瞬間のかおりで、その歯医者さんのイメージを決めてしまっていると思うんですね、人って。そういう意味では、第一印象にどこまでお医者さんが注目できるかどうかというのが、ある意味、お客さまへの心遣いにつながるのかなあと思いますね。
片岡 ただし、歯医者はもともと使う消毒のにおいを、換気か何かで工夫してある程度とっておかないと、アロマが効きにくいというのがありますね。
澤田 とっておかないと効かないと。その点について、松林さんはどう思われますか?
松林 歯医者さんで多いのは、空気清浄器。いわゆる何とかイオンとか、いま流行りじゃないですか。ああいうのを置いておられるところが多いと思うのですが、あれも別に間違いではない。においをとって、とったものを出してあげてと。

ただし、どうせやるなら、空気の流れに気をつけた方がいいですね。具体的には、入口から奥へという流れです。入口があって、待合室があって、奥で治療するとなると、奥の方に空気がどんどん流れるようにする。奥から吸ってあげて、入口でアロマみたいなにおいをちょっと出してあげると、非常にいいんですね。においをとるのは、いくらでもとれるんですけどね。
澤田 とるだけじゃなくて、空気のその流れを考えることで、設置したアロマもより効果的になるということですね。
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病院のかおり戦略
澤田 「病院」はいかがでしょうか?
片岡 病院は基本的に具合が悪くて行くところなので、アロマを設置することで、身体の調子を少しでも楽にしてあげたり、待っている時間の不安を和らげてあげたりという効果はありますね。
澤田 本来、病院というのは、用事がなければ行かないところですが、それを用事がなくても行ってみたい場所に変えていけると、行ってみたい病院というのは、ある意味変な言い方ですが、それぐらい安心できる病院というのがこれからは非常に選ばれるのかなあという感じですね。
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ドライクリーニングとかおり戦略
澤田 あと「ドライクリーニング」。これは松林さんにもやっていただいたのですが、一般のクリーニング屋さんのかおりというのは、規定値というか標準値を非常に超えているんですね。服を受け取るときのあのかおりというのは、じつはすごくひどいんです。 私が今お手伝いをしているところは、基本的にイオンを使っているところなので、においがほぼゼロなんです。においのないところとあるところは、本当に極端に違うんです。それでいて、料金は同じなんですよ。
松林さんもクリーニング屋の現場でかおりをとられましたよね。いかがでしたか? かおりはだいぶ違っていましたか?
松林 そうですね。かなり違っていましたね。においが規定値を超えているかどうかというよりは、もともとクリーニング業界に規定値というものがない。おそらく誰も測ったことがない状態だったのではないかと思います。僕も実際にオゾンクリーニングをやられたところと、普通の溶剤クリーニング、ドライクリーニングと、その差を測らせてもらったんですが……。
澤田 あの差というのは、どういうふうに表現したらいいんですか?
松林 一つは、においを臭気濃度とか臭気指数という単位で出します。これは、においセンサーを使って、においの強弱を測るわけです。もう一つは、快・不快度というもので測っていくのですが、明らかに差は出ますね。数値の差は少なかったり大きかったりしますけれど、やはり快・不快度が全然変わってきます。
やはり溶剤系の人工的なにおいというのは、不快で攻撃的なにおいですね。こういうにおいに対しては、人間は警戒しちゃうんですよ。危険だと感じてしまう。これは嗅覚の役割の部分になります。
澤田 それは本能的にということですか?
松林 はい。でも、オゾンは自然界に当然存在しているものなので、人間が安心できる。したがって、そういう違いが明らかに出てきますね。オゾンが強すぎると、それはそれでまた問題があるのですが……。
澤田 そういう意味では、攻撃的な、いわゆる人が守りに入ってしまうにおいと、そうでないにおい。そういうクリーニングと、そうでないクリーニング。どちらが選ばれるのか? 行きたいところに行くのが人間の当たり前の姿だとすると、競合が出てくる前に手を打っておかないと大変なことになりそうですね。
松林 そうだと思います。
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リラクゼーションとかおり戦略
澤田 「リラクゼーション」はどうでしょうか? マッサージとかいろんなものがあるかと思いますが、あそこにアロマが入るのは当たり前なのかなと思ってしまったりもするのですが、どうでしょうか? 今、アロマでリラックスされる方というのはどんどん増えていると思いますが……。
片岡 ここはもう、ないと話になりませんね。
澤田 王道といった感じですか。
片岡 そうです。ないと、やはりバリューとして、何か欠けちゃっているみたいな感じになりますね。
澤田 そういう意味では、かおりをつけるのが当たり前の中で、品のあるかおりというか、「ちょっと違うな」というかおり。かおりにもいろんなレベルがあると思うのですが、リラクゼーションの中でも、やはり品のあるかおりと、そうではないかおりというのがあるのですか?
片岡 すごくありますね。今かおりの選択肢はすごく広がっていますし、クオリティもどんどん上がっていますので、そのお店が「これでいい」と中途半端なかおりを選択されていると、そのかおりイコール施設自体、サービス自体のバリューになってしまいます。したがって、質の高いかおりを選び、きちんと表現することが大切ですね。
澤田 「質の高いかおり」というのは、どういうかおりになるんですか?
片岡 これは食べ物で表現するとわかりやすいかもしれません。例えば、ご飯。新米のふっくら炊き上がったご飯のあのおいしい感じと、古米で冷飯のにおいとでは、同じご飯のにおいですが、違いますよね。
ワインにしても、熟成されたすごく芳醇なワインとテーブルワインとでは、かおりが違いますよね。その差と同じように、かおりにも差があるわけです。
澤田 それぐらい差があると、当然金額にも跳ね返ってきそうですね。
片岡 そうですね。
澤田 単刀直入にお聞きしますが、芳醇なかおりというか、いわゆる質の高いかおりを入れるのと、一般的なかおりとでは、アロマとしての原液としての費用はずいぶん違うものなのでしょうか?
片岡 違いますね。やはり、どうしても質の高いかおりを求めようとすると、コストがそれなりに上がる傾向にはあります。ただし、それが比例しているかというと、必ずしもそうではなく、比較的リーズナブルでおいしいワインがあるように、比較的リーズナブルでその場所に合ったかおりや、いいかおりというのはあります。
澤田 そういうチョイスは、アットアロマさんにご相談すると教えていただけるんですよね。
片岡 はい。それが本業ですから(笑)。お任せください。
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ホテル・温泉・宿泊施設のかおり戦略
澤田 「ホテル」とか「宿泊施設」とか、いわゆる長期滞在をする場所については、かおりもそうですし、においをとるというところでもさまざまな手法・技法があるかと思うのですが、この業界の方々へのメッセージといいますか、こういうかたちでやるといいんじゃないでしょうかということで、何かコメントをいただけますでしょうか? まずは、NHKでも「特集」が組まれた松林さんから、お願いできますか?
松林 ホテルや宿泊施設は、本当に「これだ」というものではなくて、おそらくありとあらゆるにおい問題を抱えられているので、その都度ご相談いただくのがいちばん早いのですが……。
澤田 そんなに、においの問題は多いんですか?
松林 はい。いわゆる温泉でにおっている硫化水素のにおいと、汚水・下水から出てくる硫化水素のにおいは、同じ質でも違いますし、対応方法も異なります。これは、日頃出入りされている設備業者さんや清掃業者さんでもできないと思います。
澤田 においの源が特定しにくいと対応の仕方がわからないし、特定できたとしても消臭には技術が要るということですね。
松林 そうです。例えば、ホテルには「○○の間(ま)」という貸し出しの宴会場があるじゃないですか。そこで、「シガー・バー・コンテスト」というタバコのコンテストをやった翌日に、今度は違う催事でその部屋を貸し出さなければいけないとしますよね。
しかし、シガー・バー・コンテストですから、すごくタバコの臭いがするんですね。そんなタバコの臭いがする部屋を貸し出すわけにはいかないわけですよ。一晩でそんな簡単に、においがとれるかといったら絶対とれないですから。でも、我々はそのにおいをとって、翌日すぐに貸し出せるようにするわけです。
澤田 とれるんですか? やろうと思えば。
松林 一晩で全部とるのはまず不可能なんですが、それでも貸し出せるレベルまではできるんです。
澤田 ということは、ビジネスチャンスを逃さずにすむわけですね。
松林 そういうことになりますね。
澤田 日本の場合は、伝統のある温泉やホテル・旅館というのが非常に多いと思うのですが、時が経てば経つほど、日本の場合は木があったりして、においというものが出てきますよね。でも、スタッフたちは感じていなくて、一般のお客さまは感じているにおいって多いんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか?
松林 これは実際にそういったホテルや旅館などのメンテナンスをされていて、僕らもお付き合いさせてもらっている業者さんがよく言うことなんですが、そういう老舗旅館やホテルでも、やはり今のご時世は厳しいので、例えば、布団をまともに天日干しせずにまた使っちゃうとか。
そういうことが積み重なると、やはりちょっと布団がカビ臭いんじゃないかとか、畳がなんか臭うなとか、そういうのが絶対出てきちゃうと思うので、そういう日常のメンテナンスというものに手抜きをしたら、その分、跳ね返ってくると思いますね。

古ければ古いほど、その古い木のにおいは好まれるかもしれないですが、手を抜いた分のカビのにおいなどは、間違いなくお客さまを逃がしてしまう原因となるでしょうね。
澤田 アットアロマさんはいろんなホテルを手掛けられていますが、まだ導入したことがない検討中の方に、どれほどかおりというものが、ホテルビジネスもしくは宿泊ビジネスにおいて効果的なのかというところを、可能な範囲で教えていただけますでしょうか?
片岡 はい。一つは、アイデンティティだと思いますね。やはり「らしさ」みたいなものを、サービスをはじめとしていろんなところで表現することで、リピートしてもらおうとされているわけですよね。それをお手伝いするのに、やはりかおりというのはすごく効果があると思います。

もう一つは、お客さまの導線だったり、オペレーションだったり。ホテルというのは究極の接客業で、お客様は何かをお持ち帰りになるわけではなく、お食事はされるかもしれませんが、その場所で過ごすことによってお金をいただくサービスなわけです。
会議室を貸すにしてもお部屋を貸すにしても、そのお客さまが入られてからお帰りになるまでの導線、それは宿泊のお客さまも宴会のお客さまもいろんな方がいらっしゃると思いますけれど、そこにおいて何かをサービスするわけなんですね。
その際、かおりができるサービスというのはいろんなかたちであって、それは一様に「これこれ」というわけではなく、ホテルや旅館の思い入れなどに合わせたものをしっかりとやられると、すごくお客さまの満足度が上ります。人が接していなくても、かおりが接していると、それだけでグレード感だったり、満たされた感みたいなものがありますのでね。
澤田 空間で人を喜ばせること、空間を記憶に残すことで、一番大事なのは異空間だと思うんですね。日常生活にはない、あるいは日常生活で経験できないから、もう一度行ってみたいと思うわけですね。
じつは、そのための手法というのは限られていて、一つはディズニーランドのように造形物をまったく違うものにしてしまうか、しゃべっている言葉を変えて海外にいるような空間にしてしまうとか、人を変えてしまうといったことです。でも、こういったハードや人の入れ替えは難しい。そういう意味では、かおりで異空間をつくるのは手っ取り早い方法といえますね。

しかも、かおりの場合は、記憶に残すエッセンスとしては非常にパンチがありますから、新しい家具を買うよりも、かおりを入れることの方がすごく簡単ですし、差別化も早いんじゃないかと思います。
片岡 そうですね。
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ブライダルのかおり戦略
澤田 そういう意味では、「ブライダル」とかもそうですね。生涯に一度の結婚式……。
片岡 2回、3回やる人もいますけどね(笑)。
澤田 確かに。でも、まあ基本的に一生に一回だからこそ、かおりというのはビジネスとしてのうたい文句としてだけではなく、本当に思い出づくりを考えるならば、かおりまでやはり入れるべきではないかと思いますね。
片岡 そうですね。
澤田 確かに、お食事があるので極端なかおりは厳しくても、例えば、引き出物だったり、待合室の中に少しかおりを入れたりするだけで、ウェルカムする側の新郎新婦の心配りというものが伝わるんじゃないかなと思うんですけどね。
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レストランのかおり戦略
片岡 「飲食にかおりは合わない」とよく言われますが、じつはそれは間違った認識で、食べる空間こそ、本当はかおりをコントロールするべきなんですよ。
澤田 バッティングしたりしないんですか?
片岡 いや、バッティングはします。
澤田 そこはやはり、うまくコーディネートするということですか。
片岡 はい。バッティングはしますので、コーディネートを間違えてしまうと、食事がおいしくなくなったり、マイナスになったりします。しかし、きちんとコーディネートすれば、食事がすごくおいしくなったり、すごく雰囲気が出たりするので、本当は食べる空間にもかおりはあるべきなんですよ。
食べものって、じつは恐ろしくかおりが使われているんですよ。ハーブだったりね。
澤田 そうですよね。イタリア料理に行っても、だいたいもう前の人や隣の人にわかりますからね。
片岡 日本料理だってそうですよね。柚子だとか、だしのかおりだとか、生姜のかおりだとか。
澤田 そういうところのかおりのコントロールですね。
片岡 はい。そのかおりを殺してしまったらダメなのですが、活かすことは絶対にできるんです。
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今回のセミナーを受講するメリットとは?
澤田 最後に今回のセミナーについてですが、「かおり」という分野でセミナーをするのは、おそらく今までにない切り口のセミナーだと思います。基本的に「かおりをとる」「においをとる」業界と、「かおりを入れる」業界という、なかなか交じり合うところがない中で、今回は「ブランド戦略」ということで一つの串刺しにさせていただきました。時間的は2時間ぐらいのセミナーになります。今回のセミナーを受講される方、また受講を検討されている方にメッセージをお願いできますでしょうか?
片岡 最近、かおりを世の中のいろんなところで目にするというか、鼻にするようになりました。ここ1~2年、特に顕著に感じますね。そういった意味では、今ツィッターがすごく流行っているように、かおりも今年あたりが一般に広まり始める元年じゃないかと思います。したがって、ここで一度キャッチアップしておくことが、今後のかおり戦略を考える上で、すごく有利になるのではないかと思いますね。

やはり最前線の情報をとることによって、厳しい状況の中ですが、必ずプラスにすることができるのではないかと。今の時代、二番手、三番手じゃ、どうしても後れを取ってしまいますからね。
澤田 なるほど。松林さんはいかがですか?
松林 今、片岡さんがおっしゃったように、今年2010年は「においゼロの年だ」と、朝日新聞さんが元旦から「探求」というにおいの特集をやったりしていましたが、おもしろかったですね。そういう意味でいうと、私は「当たり前を疑え」というのが、今回のセミナーの隠しテーマかなと思っているんです。

例えば、セレモニーホールや葬儀屋さんは、線香のにおいがするのが当たり前なんですが、「線香のにおいをとってみたらどうなんだろう」とか、「そこににおいをつけてみたらどうなんだろう」といった取り組みはまだ誰もしてないので、それが本当の意味で「かおりブランディング」になるんじゃないかと思っているんです。

冒頭でお話ししたように臭気判定士というのは3,000人ちょっとしかいなくて、その中でも実際現場に出て悪臭と闘っている臭気判定士は本当に数えるほどしかいない中で、僕はいろんな事例を知っているほうだと思います。
今回のセミナーでお話しできる部分は基本的なところになりますが、「当たり前をとっていく。もしくは測っていく。定義づけていく」といったことを知っていただいて、自分のところの差別化や、エッジを立たせることにつなげていってもらえればいいかなと思いますね。
澤田 そうですね。「強いブランドをつくる条件」というのはいろいろあると思うのですが、一番大事なことは「一番になること」です。一番になって、業界用語で言われている「トップ・オブ・マインド」、いわゆる「第一想起」を手にすることが何よりも強い。だから、「この分野で、こういうサービスをしているのはあの会社なんだ」と思われることが一番強くて、そのためにみなさん、名前を特異なものにしたり、新しいポジションをつくったり、新しい商品をつくったりしているわけです。

先ほど片岡さんがおっしゃったように、かおりビジネスは本当にこれからスタートする段階にあるので、2年後、3年後であれば、もう二番手、三番手、下手をすれば十番手になってしまうかもしれない。そういう意味では、まさしく今年が業界の一番手になれるチャンスだと思います。

今回のセミナーは、知識として学ぶだけではなく、実際に体験していただこうと思っています。幸い今回はリッツ・カールトンさんを使わせていただくので、リッツ・カールトンが使用しているかおりを体験していただきたいと思っています。
かおりを学び、ブランディングを学び、そしてかおりを体感できるチャンスです。他にはないチャンスだと思います。ぜひ、頭も、身体も、そして嗅覚も使って、かおりというものを体感していただき、ノウハウや素晴らしいブランド体験をお持ち帰りいただきたいと思います。

リッツ・カールトンホテルで、たくさんの方々とお会いできることを楽しみにしています。

セミナー概要
1.今の仕事に就いたきっかけや思い出に残る仕事は?
2.今の仕事の魅力は?
3.不快なにおいを消臭すること、アロマを導入すること、ブランド戦略を導入することで売上増につながった事例
4.業界別「かおり」をビジネスの成功につなげる着眼点
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