



| 澤田 | 次に、もう少しビジネスのお話をお聞きしたいのですが、アロマであればアロマを注入することで、消臭であれば臭いをとることで、どれほどビジネスの売上につながったのかと。 これは直接的、もしくは間接的なものもあるかと思いますが、話せる範囲で結構ですので、「こういうことをやったら、こういうビジネスの結果につながった」といった顕著な例があれば、教えていただきたいと思います。 |

| 片岡 | じつは先日、ビックサイトで開催されたギフトショーに出店したんですね。そこに既存のアパレルのお客さんが来てくださいまして、そのお客さんがおっしゃっていたのは、かおりを入れて以来、お客さまからいろんな商品やサービスを求められることが増えてきたらしいんです。 最初はお店の演出のためにかおりを使うことから入られたわけですが、その空間でかおりを体感されたお客さまが、先ほど澤田さんがおっしゃったお店というタッチポイントで嗅覚で感じたものを、なにかしらお店の場所から家に持って帰りたいと。 |
| 澤田 | その世界感を家でも、ということですね。 |
| 片岡 | そうだと思います。家に持って帰りたいと。そのためには、空間は持って帰れないので、その空間を再現できるものを商品にして、サービスするか買っていただくか。いずれにしても、かおりでお客さんをつなぎ止めるというか、お客さんからの引き合いがすごく多くなっているらしいですね。ですから、いろんなツールやいろんなサービスアイテムで、そこをどんどん強化していこうと考えているところです。 |
| 澤田 | 確かに、僕らの視点からいくと、お客さまがショップで「いいな」と思ったその瞬間に記憶の中に入れることができれば、深い中に無意識に入っていくんですよね。そういう意味で言えば、今までは視覚や聴覚が一つの主流でしたが、そこに嗅覚も刺激することで、一歩深い記憶に、しかもワクワク感を込めて入っていけるので、その記憶をまた呼び戻すときに非常に効果的なのではないかと思いますね。 |
| 片岡 | そうですね。やっぱり覚えてもらうことって大事じゃないですか。 |
| 澤田 | 大事ですね。 |
| 片岡 | どこの誰兵衛が商売をしているのか。名前しかり、扱っている商品しかり、そのイメージしかりで、なにがしかをお客さんに覚えていただいて、リピートしていただくことが大変重要になってくるわけです。 そのリピートしていただくため、覚えていただくためのツールとして、かおりはすごく重要な要素だということが、今採用していただいているお客さまは実感として持ってくださっていると感じですね。 |

| 澤田 | では、なぜ今までかおりというものが注目されなかったのでしょうか? ロジカルに考えても、五感から考えても、記憶に残すという視点で見ても、これほど重要な要素であるにもかかわらず、これまで注目されなかった。今もなかなか判断できない方がおられる。これはなぜなのでしょうか? |
| 片岡 | 昔は注目されていたんでしょうね。それは空間のかおりじゃないのかもしれませんが、アイデンティティをかおりで表現するというのは、かなり昔、夜這いに行くときに(笑)。 暗い中を行くわけじゃないですか。月明かりでもあればわかりますが、そうじゃなければ、それこそかおりで識別するしかないと。ただし、そこは体臭じゃなくて、お香なんかを使ったりしてかおりをつけていたという部分があったのではないかと思います。 |
| 澤田 | 確かに、お香を楽しむ文化も長いですものね。 |
| 片岡 | そうなんですよ。昔はそうだったと思うのですが、それが文明開化とともに、高度経済成長期とともに、一回どこかに行っちゃった(笑)。 |
| 澤田 |
確かに、アイデンティティってそうだと思うんですよね。私も先日セミナーをしたときにもお話をしたのが、これまでの差別化ポイントというのは、「どのようにして人と違うことをするのか?」や「いかにニッチなところを狙うか?」といった視点でした。しかし、今はアイデンティティづくりにシフトしています。「私たちはこんな会社です」「こんなサービスをしています」というところに今、注目されています。 やはりアイデンティティの不動なところに魅力を感じて、モノを買っている人が非常に多いと思います。そういう意味では、今の時代、かおりでアイデンティティをつくるというのは、非常に強いポイントなんですね。 |
| 片岡 | 確かに、そうですね。 |
| 澤田 | では次に、松林さんにお聞きしたいのですが、かおりを消臭することで売上が上がったというような具体的な事例はありますか? |
| 松林 |
私たちの場合は、付加するものとはちょっと違うので、売上が上がるというよりは、どちらかというと失っていたものが返ってくるとか、このままだとなくなってしまう売上を防止するということになります。 例えば、ある新製品があって、発売する寸前にモニターの方から、「なんかちょっとにおいがあるんじゃないの」とか、「なんか不快感があるね」という声があったときに、「本当にそれが臭いなのか」「不快なのか」「一般の人に受け入れられないレベルなのか」「なぜ変なにおいがついちゃったのか」といったことを定義づけしてあげることによって、問題解決の糸口を見つけてあげると。 場合によっては、せっかく作った製品を捨てなきゃいけないケースもありますが、測定することによって「これくらいの臭いなら、一般的な基準で全く問題ない」となれば、その製品はそのまま無事に市場へ出ていくことになります。 |

| 澤田 | 安心を測る基準になるということですね。 |
| 松林 |
そうですね。嗅覚というのは、当然個人差があるので難しいのですが、やはりある程度どこかで線引きをしなければいけない。「私は臭いけれど、あなたは臭くない」じゃダメなわけで、一つの基準をつくってあげることが品質基準につながり、ひいては商売の損得にまでつながっていくケースもあるわけです。 それから差別化というのがあって、例えばマンションのゴミ置き場の場合、一流のデベロッパーは臭くないゴミ置き場を造っています。臭くて当たり前だったところが、今は「うちのマンションのごみ置き場は臭くないですよ」というのが差別化になっているんですね。 |
| 澤田 | それは住む方が住宅の選定基準として見ているんでしょうか? 臭い、臭くないというところを。 |
| 松林 | これはマンションを売る側が謳うんですね。「うちのゴミ置き場は臭くないですよ」と。 |
| 澤田 | ニーズがあるんですかね? 「臭くないごみ置き場」に。 |
| 松林 | そうなんです。住民の方も、やはり臭いとゴミ置き場の中に長くいたくないわけですよ。そうすると、外からゴミをポンと放っていったりする。 |
| 澤田 | 確かに。 |
| 松林 | すると、ゴミ置き場がまた散乱して、どんどん臭くなると。でも、臭くないと、しっかり入っていって、きちんとポリ袋のなかに入れて蓋をしてくるというように、いい効果が生まれてくるわけです。 だから、しっかりとしたデベロッパーさんは、たかだかゴミ置き場の脱臭装置に、何社も呼んでコンペをやって、「うちのゴミ置き場はいちばん臭くないものを使う」といったことで差別化されています。 |
| 澤田 | それぐらい強いツールになるんですね。においの「ある・なし」というのは。 |
| 松林 |
やはり臭いのは誰も嫌ですからね。今まで臭くてあきらめていたところに、じつは「うちのものなら臭くないよ」とか、「臭くないようにしています」と言うと、やはりお客さんは興味を引かれるでしょうね。もちろん、費用対効果というのは当然出てくるでしょうが、そういった差別化ができるというのが一つ。 もう一つは、先日NHKでやった、まさに私たちの実力ですが、1泊2万、3万円するお部屋が汚水臭のせいでお客さんに貸せない状況だと。それを1カ月放っておけば30日分その部屋が損失になってしまうわけで、1日でも早く臭いをとってあげればすぐに貸し出しができる。そうすれば、その機会損失部分を取り戻せる。つまり、貸し出して利益が出せるいうところはあります。 今や「臭いは我慢すればいいじゃないか」という時代が終わって、「やはり臭いのは嫌だ」「臭いところには行かない」という時代になりつつあると思いますね。 |

| 澤田 |
最近、僕の方もいろいろとお客さんのお手伝いをするんですが、最初に位置づけを決めるとき、多くのコンサルタントは「あなたは何が好きですか」とか、「あなたの強みはなんですか」という、良いところの質問から入るんですね。でも、僕はそれだけじゃなくて、もう一個別の視点から質問するんです。「何を困っていますか」とか、「お客さまは今、どういうところに悩んでいますか?」と。 要するに、ゼロからプラスの話ではなく、マイナスからゼロのところにまず着目することが、非常に重要だと感じています。 なぜなら、その方がお客さまからの反応がいいし、その上で「じゃあ、プラスはどうしましょうか?」というふうにもっていくと、今までの経験値からすると、お客さまからの愛される度合いが早いし、深いのかなあと思いますね。 ブランディングのメリットは、やはり直接的な売上増にあります。 たとえば、プレミアム価格が付けられるようになるとか、競合が出てきても競合の方に流れないので、売上をキープできるとか。ファンがつけば、次の商品を出したときに広告宣伝を打たなくてもお客さまに選ばれるとか。 さらに、売上を上げるだけじゃなく、経費を下げることにもなるんですね、ブランド戦略というのは。 例えば、デザインをつくる制作過程をシンプルにしてしまうことができます。最初からルールを決めてしまって、「これを使ってください」「こういうふうに表現してください」と決めることによって、各タッチポイントで使われるアイテムで悩む時間が削減できます。また、封筒や便箋といったお客様とのタッチポイントで使われているアイテムを一同に集めて棚卸しをしていくと、結構不要なものや一本化できるものが見つかりますので、そこで無駄を削除することもできます。 あと、先ほど片岡さんのお話にもありましたが、ブランド戦略をきちんとすると、社員の人たちも「自分たちはどうあるべきか」というのを感じることができるようになります。すると、社員の人も、自分たちはどこにどう向かっていけばいいのかということが、しっかりとイメージができるようになるので、社員の結束力も強くなるというメリットもあるのです。 多くの人は「ブランド=デザイン」「ブランド=他にはない珍しい商品化」「ブランド=キャラの立った商品化」というイメージを持っていますが、そうじゃない。一歩深く入ると、戦略的なビジネスツールになることがわかるので、これを使わない手はないと思います。ぜひ、たくさんの方に知っていただきたいですね。 |
| セミナー概要 |
| 1.今の仕事に就いたきっかけや思い出に残る仕事は? |
| 2.今の仕事の魅力は? |
| 3.不快なにおいを消臭すること、アロマを導入すること、ブランド戦略を導入することで売上増につながった事例 |
| 4.業界別「かおり」をビジネスの成功につなげる着眼点 |
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